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懐かしきベルギー番外編(落し物) [海外雑記]

 ブリュッセルは、街の1/4が森や公園で緑が多く、市庁舎Bruxelles.jpg私の住んでいたアパートの近くにもエンゼル公園という名の大きな公園があった。私はベルギーの生活に少し慣れた頃から、朝早く起きてジョギングをしだした。なぜなら、ブリュッセルにある会社の昼食は、大きなお皿に肉料理と、ごっそりと盛られたフリッツ、さらにスープと食べ放題のサラダやパンが出され、毎日食べていたら確実にメタボになってしまうボリュームだった。しかし、朝のジョギングを始めた最初の日、私はとんでもない災難に見舞われた。

 冬のブリュッセルの日ノ出は遅い、8時半ごろやっと明るくなってくる。私は、ウインドジャケットに身を固め7時頃アパートを出た。外はまだ暗い、街灯の明かりが頼りだ。既に何度か自宅から公園までのジョギングコースは調べておいたので、軽い柔軟体操を済ませた後、犬のウンチ清掃員.jpg早々に走り出した。ほとんど人通りが無い静まり返った夜明け前の街では鳥の声も聞こえない。時々遥か遠くで犬の遠吠えが聞こえるぐらいだ。私は快調に冷たい風を切りながら公園を回り、もと来た道を戻りだした。

 犬の糞の始末を呼びかける看板.jpg突然、グニャっと嫌な感触が右足裏に伝わった。“ん、泥でも踏んだかな”と思いつつも、まだ道は暗く止まらなければ確認する事ができない為、そのまま無視して走り続けた。時々犬を連れた人とすれ違うが、それ以外はほとんど人ともすれ違わない。

 アパートがある通りに辿り着いたところ、作業着姿の人が、なにやら道路の所々を掃いているのが見えた。ごみでも拾っているのだろうかと思いつつ、横目で見ながら走り抜けた時、今度は左足に先ほどと同じグニャっと云う感触が伝わった。“え!! 何だろう”と思い、その場で止まりジッと目を凝らし足元を見た瞬間、目に衝撃が走った。小便犬.jpgなんと、踏んでしまったのは、“糞”である。うわ~と思いながら左足の靴底を道路の石畳にこすりつけ、ふと先ほどの作業着姿の人を見た。今度ははっきり見えた。作業着姿の人は小さなスコップと柄の付いたゴミ箱で、あちらこちらに放置された犬の糞を拾っていたのだ。 

 犬の糞を捨てるBOX.jpg後で聞いた話だが、ベルギーやフランスでは犬を散歩に連れて行くとき、犬が落とした糞の始末をする人はほとんどいない。従って朝の歩道には、たくさんの犬の糞が落ちている。ベルギーでは「犬の糞を踏むと良いことがある」という迷信があるそうだが、踏んでしまった人へのせめてもの慰みからとも云われている。犬を飼っているフランス人が「私が拾うと、お掃除の人が職を失ってしまうでしょ」と云ったとの話も有る。

 ベルギーでは犬を連れて歩く人が多く見受けられるが、犬の躾はいたって良く、日本のように犬に飼い主が引っ張られている光景はほとんど見ない。犬もおとなしく、主人が買い物をしている間などジッと座って主人を待っている。そのような“フランダースの犬”の舞台となった国で、犬の糞の始末だけはマナーが無いと言うのは、犬の躾と同じように飼い主の躾も確り行って欲しいものである。...

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