偽物 [海外情報]
私は中国に出張する時、時々DVDを購入してくる。理由は云うまでも無く日本で購入するより安いからである。
知っての通り、DVDとそれを再生する機器にはリージョンコードなる物があり、日本は2、中国は6と決まっている。これはDVDの再生可能地域を限定しているのだが、私はかって中国でリージョンコード6が付いたDVDを見たことが無い。つまり中国で売っているDVDはすべてリージョンフリーで、どの国の機器でも再生できる。では、中国で売っているDVD再生機器はどうかと云うと、これもすべてリージョンフリーである。以前、私は中国でDVDプレーヤーを購入したことがある。購入する時、店員にこのプレーヤーはリージョン2の日本で使えるかと聞いたら、何を云っているんだと笑われた事があった。
すなわち、中国で売っているDVD(最近はBDVも売っている)は、すべてリージョンフリーで、どこの国の機器でも再生できる優れものであり、そしてディスクのほとんどはコピー版である。これらのディスクでもランクがあり8~20元(120~300円)と値段も違う。
中国の大きなDVDショップには、必ずと言っていいほど日本版のDVDが有る。それらのDVDのほとんどは、日本で売られているDVDのコピーと思われるが、中には日本でも発売されていないTVの連続ドラマをDVDにした物もある。
そもそもこの国の多くの人々は、ビデオテープなるものを知らず、VHSや8ミリビデオを知る前に、いきなりDVDを購入した人たちである。街にはDVDのコピーが溢れており、自分で映像を録画すると言うような習慣は無い。従ってこの国では、ほとんど録画用の機器は売れておらず、再生機器がメインである。もし日本でも録画した映像が近所のショップで安く売られていたら、わざわざ高い録再機器を買う人は少ないかも知れない。
偽物というのは、本物があると知っているからそう呼ぶのであり、もし本物を知らなかったら、偽物とは呼ばれないのでは。