ハンガリー続編 [海外雑記]
ハンガリー料理と民族音楽を堪能した翌日はS氏の会社で午前中仕事をしたが、午後は特に予定が無かった。S氏が気を使ってくれて『せっかくハンガリーまで来たのだから、ブタペストでも見てみてはどうですか』と云ってくれた。私も始めてのハンガリーだし、土曜日と云うこともあったので、『そうですね、そうさせてもらえますか』と云いながら頭を下げた。 昼を会社の食堂でとった後、S氏が手配してくれたシロタクに乗りブタペスト市内に向かった。
『ブタペストはね、ドナウ川の西側がブダ、東側がペストと呼ばれる地域で、もともとは別の街でした。』とS氏が説明してくれる。『この街はね、古くから平地のフレンツェ、海辺でのベニス、丘陵地ではブタが最も美しいと云われドナウの真珠、ドナウの宝石と呼ばれています。』『人口はどのくらいですか?』とS氏に尋ねると、『今は人口約200万人ぐらいと聞いています。でも、第二次世界大戦中はブタペストに住んでいたユダヤ人が20万人虐殺されているし、ソ連軍占領下でも人口がずいぶん減ったようです。』と答えてくれた。そうこうするうちに、ドナウ川両岸を結ぶ橋セーチュニ鎖橋が見えてきた。
セーチュニ鎖橋を渡り最初に訪れたのがブダ城である。ルネサンス建築の王宮を見ながらS氏が語る『この王宮はね、最初はゴシック建築だったらしいのですがローマ皇帝の皇后、女帝のマリア・テレジアがルネッサンス様式に変えたんです。その後ハンガリー動乱でソ連軍に破壊されましたが、80年代に再建されました。』説明を聞きながら王宮の階段を上り、城壁の上に出るとそこからドナウ川とセーチュニ鎖橋、対岸のペストの町が一望に望める場所にでた。ブダ城内にある国王の結婚式や戴冠式の場として利用されたマーチャーシュ聖堂を見た後、S氏が『何かお土産で買いたいもの有りますか?』と尋ねてきた。『特にありませんが...』と答えると、『それでは中央市場にでも行きましょう、あそこならハンガリーの人が食べる生鮮食品からお土産の民芸品まで売っていますから』と云ってくれた。
中央市場と云うから、私は日本の築地市場を想像していたが、全く市場とは思えないモダンな建物に案内され中に入った。1階は広いスペースに各商店がパプリカやハムを売っており、地下は鯉などの水産物を売っていた。店はどこもこじんまりとしていたが、特に目を引いたのは、赤や黄色、緑にオレンジと色鮮やかなパプリカとたまねぎで、こんなに種類があるんだと改めて関心した。唐辛子や香辛料も多く売っており、ハンガリー料理が辛い事が納得できる。ハンガリーといえばキャビアも有名なのだが、私としては味と値段が気に食わないので、お酒のつまみになるサラミとチーズを購入することにした。 買い物も終わりホテルに向かう車窓から、またゆったりと流れるドナウ川が見えてきた。ドイツに源を発し、バイエルン地方を横断してウイーン・ブダペスト・ベオグラードなどを経てルーマニアとブルガリアとの国境を流れ、黒海に注ぐドナウ川。この川を見ているうちに頭の中でイバノビッチのワルツ“ドナウ川のさざなみ”が流れ出した。
しばらくドナウ川を見ているとS氏が『今日は最後のブタペストの夜ですから一緒に飲みに行きましょう。』と誘ってくれた。私が『ええ』と気の無い返事をすると『いい店知っているんですよ、金髪のハンガリー美人がいる。』とたたみこんっできた。『ハンガリー美人ですか』とそれとなく聞き返すと、『そうです、ハンガリーは美人多いですよ。夏など薄着が多くて目のやり場に困ります。』と云いつつ少しにやりと笑った...
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